
「仕事中に手が振るえる」
「パーキンソン病かも…運動をして大丈夫かな」
と不安を感じていませんか?
パーキンソン病の手の振るえは、適切な運動や生活上のケアを取り入れることで和らげることができます。
本記事では、理学療法士として多くのパーキンソン病の方に向き合ってきた専門家が、症状の特徴や見分け方、安全で効果的な運動法について分かりやすく解説します。
不安を解消し自分らしい毎日を守るために、ぜひ最後までご覧ください。
パーキンソン病の方の振るえ

手の振るえを感じると「パーキンソン病の症状だ」と不安になる方も多いのではないでしょうか。
適切な運動や対策を始めるためには、まずご自身の症状を正しく把握することが大切です。特有の症状や見分け方について解説します。
安静時振戦など特有の症状と特徴
パーキンソン病による手の振るえは、じっとしている時に出やすいのが特徴です。
医学的には『安静時振戦』と呼ばれています。
たとえば、リラックスしてテレビを見ている時や、歩行時にダラリと手を下げている時などに振るえが現れやすくなります。
親指と人差し指をこすり合わせる『丸薬丸め運動』のような、一定のペースでの動きが出ることも多いですね。
逆に、コップを取ろうとするなど何かの動作を始めると振るえがピタッと止まる傾向にあります。
力を抜いて休んでいる時に振るえが目立つ場合は、特有のサインかもしれません。
物を持つと振るえる?初期症状の出方
パーキンソン病の初期症状では、片手や片足など左右どちらか一方から振るえが始まるケースがほとんどです。
多くの方は日常生活の中でふと気づかれます。ただ、「コップや新聞を持つと手が振るえる」といった動作中の振るえは、実はパーキンソン病よりも別の原因であることも考えられます。
パーキンソン病の場合はあくまで休んでいる時に起こりやすく、疲労や精神的なストレスを強く感じたタイミングで症状が悪化しやすいという側面を持っています。
左右で振るえ方に明らかな差があり、緊張した場面などで強く手足が動いていないかを確認しましょう。
他の病期による手の振るえとの違い
手の振るえはパーキンソン病以外にも、過度な緊張や別の病気が原因で起こることが少なくありません。
特に頻度が高いのは『本態性振戦』と呼ばれる症状です。字を書く時や物を持つ時など、特定の動作をした際に振るえが出るため、パーキンソン病とは違う特徴を持っています。
これ以外にも、甲状腺の病気(甲状腺機能亢進症)や喘息治療薬などの副作用、お酒の影響(アルコール依存症)で振るえが引き起こされるケースも存在します。
動いている時に振るえるのか、じっとしている時に振るえるのかをチェックすることが、原因を見極める大きな目安となりますよ。
運動は安全?パーキンソン病の手の振るえ

「手が振るえているのに、運動をしても本当に大丈夫なのだろうか」と不安に思う方も多いはず。
実は、パーキンソン病の振るえ対策において、運動は非常に大切な役割を持っています。
その安全性と意義について詳しくお伝えしますね。
振るえがあっても運動して安全
手の振るえがある状態でも、ご自身のペースに合わせた適切な運動を行うことは安全であることが多いです。
筋肉が固くなったり疲労が溜まったりした時に、振るえはかえって起きやすくなる性質があるため、適度に身体を動かして筋肉の緊張を和らげることは、症状を落ち着かせることに直結します。
状態を見ながら、積極的に身体を動かし、少し進んでいる場合は転倒に気をつけながら今の状態を維持する運動を選ぶのがコツです。
不安な時は無理をせず、簡単なストレッチなどから始めて、少しずつ身体をほぐしていきましょう。
リハビリや運動療法が果たす役割
リハビリや運動療法は、お薬や手術と並んで身体の機能を良くしたり、維持したりするための欠かせない柱となります。
定期的に身体を動かすことで、関節の柔軟性や筋力を保ち、症状が進むのを遅らせる大切な方法。
振るえによる過度なエネルギー消費を抑え、疲れにくい身体を作る目的もあります。
姿勢が丸くなったり、傾いてしまったりすると、体が硬い場所が出てしまうこともあります。そうすると、振るえを助長してしまうことも…。
こまめに背すじを伸ばす意識を持つだけでも良い刺激になりますね。
休日の散歩や日常のちょっとした空き時間など、生活の中に無理なく運動を取り入れて、ご自身の身体を長く守っていってくださいね。
運動以外のパーキンソン病の手の振るえ対策

振るえを抑え、少しでも快適に過ごすためには運動以外のケアも欠かせません。
日々の生活での工夫や、医療機関で受けられる根本的な治療についてお伝えします。
日常生活の対処法と悪化を防ぐコツ
ご自宅でのちょっとした工夫の積み重ねが、振るえの悪化を防ぎ、生活の質を向上させます。日々の習慣の中にケアを取り入れることが大事です。
たとえば、手足の振るえが気になった時は、軽くブラブラと揺らして力を抜く感覚を掴むのがおすすめです。
また、家事そのものをリハビリと捉え、お皿洗いや掃除機がけの際に「少しだけ腕を大きく動かしてみる」「姿勢を正してみる」と意識するだけで、立派な筋力向上につながります。
ご自身で「できた」という感覚を大切にしながら、無理のない範囲で日常に工夫を取り入れていきましょう。
振るえを強めるストレスや緊張の緩和法
手足の振るえは、精神的な緊張や疲れによって強くなる傾向があるため、心をリラックスさせることが大切です。
身体のこわばりと心の緊張は深く繋がっており、不安を感じると筋肉が固まってしまう悪循環に陥りやすいからです。
これを防ぐには『力を抜く感覚』を日頃から覚えておくことが大事になります。
振るえが強くなってきたら、まずはゆっくりと深呼吸をして心を落ち着かせてみてください。
また、ボールを軽く握るなどして意図的に手に力を入れ、その後にフッと力を抜く練習も、神経の興奮を抑えるのに役立ちます。
「焦らなくても大丈夫」とご自身に言い聞かせながら、リラックスできる時間を作って身体と心を休ませてくださいね。
薬物・手術などの治療法
生活の支障となる強い振るえに対しては、医療機関での根本的な治療を検討することが必要です。
運動や生活の工夫だけではどうしても抑えきれないこともあります。
基本となるのは『ドーパミン補充薬』などを活用したお薬による治療。症状をコントロールして生活しやすくすることが目的ですが、長期的な利用による副作用には医師と相談しながら慎重に向き合う必要があります。
このお薬による治療と運動を併用していくことが、症状の緩和につながります。
また、お薬での改善が難しい場合には、脳の特定の場所に電気刺激を送る『深部脳刺激(DBS)』といった手術が選択肢に入るでしょう。
ご自身の症状の進行度や生活の目標に合わせて、かかりつけの先生としっかりと方針を話し合ってみてくださいね。
手の振るえを軽減!パーキンソン病の運動法

手や腕の振るえを和らげるためには、筋肉の緊張をほぐす運動を日常に取り入れるのがおすすめです。
ご自宅のちょっとしたスペースで今日からすぐに実践できる、具体的な運動方法や指の動かし方をご紹介しますね。
海外の研究からみた振戦への運動効果
2022年に脳神経領域の国際的な専門誌(Neurological Sciences)で発表された研究論文では、パーキンソン病の手の振るえに対するさまざまな運動の効果がまとめられています(引用文献:1)
この研究で特に注目されたのが、特別な機器を使わない運動である『遠心性運動(筋肉を伸ばしながら力を発揮する運動)』です。
腕の筋肉に対してこの運動を継続したところ、休んでいる時の手の振るえの大きさが約60%減少したという明確なデータが示されました。
また、機器を使ったリハビリにおいても、筋肉に微弱な電気を流す『電気刺激(EMS)』によって、振るえの強さが約40%以上抑えられる効果が報告されています。
ご自宅で手軽にできる身近な運動はもちろん、先端機器を用いたアプローチも含め、正しく取り組むことで不快な振るえを軽減できる可能性が示されていますね。
専門家のアドバイスのもと、ご自身に合った方法を日々の習慣に取り入れていきましょう。
手指や腕の振るえに効果的な運動手順
振るえを抑えるには、指先の感覚を養いつつ、腕全体の筋肉をしっかり伸ばす運動を取り入れるのがおすすめ。
筋肉の過度なこわばりや神経の興奮が、手の振るえを強めてしまう大きな要因となりえます。
例えば、柔らかいストレスボールをギュッと握り、その後にフッと力を抜く練習を繰り返すことで、指先の緊張をコントロールしやすくなります。
壁に手のひらを上に向けてつけ、身体をゆっくり前に倒して腕の内側を伸ばすストレッチも良いですね。
深呼吸しながら行うと神経が落ち着きやすくなりますよ。
心地よいと感じる強さで筋肉をほぐし、リラックスした状態を作ってくださいね。
画像で解説!具体的な運動と指の動き

実際の画像をイメージしながら、ご自宅の椅子に座って安全に行える運動を確認していきましょう。
正しい姿勢や動かし方を視覚的に理解しておくことで、身体への負担を減らし、より安全に実践できます。
まずは椅子に座り、背筋をスッと伸ばします。
前方のテーブルに両手を置き、息をゆっくり吐きながら身体を前へ倒して肩や背中を伸ばしていくのがポイント。
指先は、両手を開いて大きなグーパーの動きをゆっくりと繰り返すだけでも十分な運動になります。
画像の真似をしながら、ご自身のペースで毎日の習慣にしてみてください。
まとめ:パーキンソン病の手の振るえと運動

手の振るえを抑えて動きやすい毎日をつくるためのコツや運動法をお伝えしました。
まずは日常の中で『力を抜く感覚』を意識しながら、ストレッチや簡単な指の動きを少しずつ試してみてください。
振るえの症状にはお薬の調整も欠かせないため、運動時の身体の変化や感じた疑問をノートに記録しておくのがおすすめ。診察時に主治医へ伝えることで、よりご自身に合った治療プランを組み立てやすくなりますよ。
焦らずご自身のペースを守りながら、無理のない範囲で身体づくりを続けていきましょうね。
この記事の執筆者
山口 祐弥(やまぐち ゆうや)

ASPATH(アスパス)鹿児島 代表 / 理学療法士
パーキンソン病を専門とする理学療法士(保健学修士 / LSVT-BIG®︎認定療法士 / 脳卒中療養指導士)。
総合病院や都内のパーキンソン病運動施設での14年以上の臨床経験を経て、現在は地元の鹿児島市でパーキンソン病と脳卒中専門トレーニングスタジオ「ASPATH」を運営しています。
保険外リハビリの現場に立ちながら、『適切な時期に適したトレーニングができる場所』を提供し、一人ひとりの目標から逆算した身体づくりと、生活に役立つ情報の発信に取り組んでいます。
結びと初回体験のご案内
私たちアスパスは、これからもパーキンソン病と共に生きる方の『人生の伴走者』として、やりたいことに挑戦できる身体づくりをサポートしていきます。
日々の臨床現場で得た専門的な知見や最新の運動療法を、一人ひとりの体調や症状の波に合わせたマンツーマンのトレーニングへ還元していくことを大切にしています。
「このまま症状が進行するのではないかと不安…」
「最近、足がすくみやすくなった気がする」
「姿勢が丸くなってきたからどうにかしたい…」
「足がつまずきやすくなってきた…」
など、お身体のことでお悩みの方やそのご家族様は、どうぞお気軽に初回体験へご相談ください。
ご自宅への訪問サポートや、ご夫婦での見学も大歓迎です。
初回体験申し込みフォームのURL
⬇︎⬇︎
https://forms.gle/sV6P2hbwowZS1quA7
アスパス公式LINEのURL
⬇︎⬇︎
引用文献
1)Shahien, et al. : Neurological Sciences, 2023.
まずは一度、お話を聞かせてください
初回体験は期間限定 半額4,400円。パーキンソン病専門の理学療法士が、
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ご登録後、トークにメッセージをお送りください。
スタンプ一つでも構いません。
コメント(2件)
記事へのご感想をいただきました。ありがとうございます。
パーキンソン病フィットネスオンラインで今月からお世話になっております。
今回、振戦にスポットを当ててくださり大変興味深く読ませていただきました。
闇雲に恐れる必要はなく、まずおおらかな気持ちで事実を受け止め
服薬、運動を行ってゆくのが必要と思いました。
紹介されていた運動もこれからコツコツ取り組みたいです。その上だまた疑問があったら、質問させて頂きたいと思います。
グランドオープンから早、半月が過ぎましたが、運動の後の軽やかな感じは次への糧となっております。これからも無理のないところでレッスンに参加し、継続していきたいと思っていますのて、ご指導よろしくお願いします。
コメントをいただき、誠にありがとうございます!アスパスの山口祐弥です。
また、今月からパーキンソン病フィットネスオンラインサロンにご参加いただき、心より感謝申し上げます😊
ブログの記事をお読みいただき、「おおらかな気持ちで事実を受け止め、服薬と運動を行っていく」という大切なポイントを深く汲み取っていただけて、大変嬉しく思います。
振戦は不安になりやすい症状ですが、正しく理解して整えていくことで、過度に恐れず付き合っていくことができます。
また、オンラインサロンのグランドオープンから半月ほどレッスンを継続され、「運動後の身体の軽やかさ」をご実感いただけているのは本当に素晴らしいことです!
お身体と脳が良い反応を示している素敵な証拠ですね✨
なお、こちらのオンラインサロンは、パーキンソン病専門トレーニングスタジオ「ASPATH(アスパス)」の山口も運営に携わっております。
アスパスでは、マンツーマンのパーソナルトレーニングを通して、お一人おひとりの細かな症状(振戦、すくみ足、姿勢の偏りなど)や日常のお悩みに深く寄り添い、専門的な評価と個別プログラムを提供しております。
日々、当事者の方々と密に関わる中で得られるリアルな現場の気づきや、学術的な知見は本当に多く、それらを今後のコラムでも分かりやすく発信します。
ぜひサイトやコラムもチェックしてみてくださいね!
まずは紹介した運動も無理のないペースでコツコツ取り組んでみてください。
疑問や気になったことが湧いた際は、いつでも遠慮なくご質問ください。
これからも楽しく継続していただけるよう、しっかりサポートさせていただきます。
引き続きどうぞよろしくお願いいたします!