
「最近、体が前かがみになって歩きにくい……転ばないか不安だけど、家でどんな運動をすればいいのかしら?」
結論から言います!
パーキンソン病の運動は、手足よりもまず『体幹』から鍛えるのがおすすめです。
体幹の運動には以下のようなメリットがあります。
・姿勢がまっすぐになりやすい
・動くときのふらつきが減る
・歩幅が広がり、転倒予防になる
本記事では、体幹が重要な理由から、今日からご自宅で安全に試せる3つの具体的な体操までを分かりやすく解説します。
本記事を読めば、なぜ体幹が大切なのかが分かり、ふらつきや転倒の不安を減らすヒントが見つかりますよ◎
〜〜 ブログ運営者のプロフィール 〜〜
【山口祐弥】
私は鹿児島でパーキンソン病に特化した運動スタジオ『ASPATH』を運営している理学療法士です。
これまで論文執筆や県内での医療講演などを通じ、多くの方の歩行改善をサポートしてきました。
どんな運動から始めればいいか迷っている方は、ぜひ最後まで読んでみてくださいね!
【経歴】
1992年、鹿児島生まれ鹿児島育ち。
鹿児島の総合病院で8年間、神経疾患を中心とした理学療法に携わったのち、東京のパーキンソン病専門運動施設で4年間勤務。
これまでに、多くのパーキンソン病・脳卒中の方のリハビリ・トレーニングを担当。
2026年始めに地元・鹿児島市へUターンし、パーソナルトレーニングスタジオ『ASPATH(アスパス)』を開業。現在は鹿児島を中心に、パーキンソン病の方との伴走に全力を尽くしている。
【資格】
・理学療法士
・保健学修士
・LSVT – BIG認定療法士
【実績】
■論文執筆
・Effectiveness of Video-Based Intensive Core Training in Parkinson’s Disease(パーキンソン病における動画を用いた集中体幹トレーニングの有効性), Converging Clinical and Engineering Research on Neurorehabilitation V, 2024.
■医療講演
・パーキンソン病の方が行う運動の効果と明日からできる一工夫, 全国パーキンソン病友の会鹿児島県支部医療講演会(鹿児島), 2023.
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体幹は体の中心部分

体幹とは、頭や腕、足を除いた『胴体』全体を指す言葉です。
お腹や背中の筋肉だけを想像される方が多いかもしれませんが、実は胸や腰回り、お尻、さらには肩甲骨の周りまで、体の中心となる部分すべてが含まれます。
木に例えると、枝葉である手足をしっかりと支える太い『幹』にあたる部分ですね。
この幹である胴体がグラグラしていると、手足をスムーズに動かしたり、良い姿勢を保ったりすることが難しくなってしまいます。
手足を自由に動かし、身体を安全に支える土台として、体の中心部分の力を高めることが大切です。
パーキンソン病と体幹の関係

パーキンソン病では、手足だけでなく体の中心にある『体幹』の筋肉もこわばりやすい特徴があります。
これは脳内のドパミン不足により、体を動かす指令がうまく伝わらなくなるためです。
特に背中や腰、首といった体幹の筋肉が硬くこわばる『固縮』と呼ばれる症状が起こります。
このこわばりは、体をひねる動きを小さくしてしまうだけでなく、姿勢が前や横に傾いたまま戻らなくなる姿勢の変形を引き起こすこともあります。
さらに、体幹がうまく動かせないと、歩行中に頭や骨盤のバランスが崩れ、転びやすくなる原因にもつながります。
このように、パーキンソン病における体幹のこわばりは、姿勢の崩れや転倒といった生活上のリスクに直結しているのです。
体幹の運動への影響

体幹の筋肉が硬くなると、私たちの体にはさまざまな変化が現れます。
具体的には『姿勢』『バランス』『歩き方』という3つの側面に大きな影響を与えるのです。
それぞれの変化について分かりやすく解説しますね。
姿勢への影響
パーキンソン病によって体幹の筋肉がこわばると、体が前や横に傾きやすくなります。
これは、お腹や首の筋肉が必要以上に緊張してしまい、まっすぐな姿勢を保てなくなるためです。
さらに、自分の体がどれくらい傾いているかを感じ取る力も弱まるため、無意識のうちに姿勢が崩れてしまうケースが少なくありません。
前かがみの姿勢が続くと、腕が動かしにくくなったり、呼吸が浅くなったりと、全身の疲れにもつながります。
体の中心の緊張を和らげることが、きれいな姿勢を保つためのポイントとなります。
バランス能力への影響
体幹の動きが悪くなると、立った時や動いた時のバランスが崩れやすくなります。
体幹は全身を支える『土台』の役割を持っているため、ここが硬くなると頭や骨盤の動きがグラグラと不安定になってしまうのです。
パーキンソン病の初期段階から体をひねる動きが少なくなり、バランスをとるのが難しくなることが分かっています。
とくに転んだ経験がある方は、背中や腰の筋肉が過剰に緊張している傾向も。
転倒を未然に防ぐためにも、土台となる体幹を柔らかくしていくことが大切です。
歩きへの影響
体幹の姿勢や硬さは、歩くスピードや歩幅にも直接に影響します。
体が前に曲がれば曲がるほど、一歩が小さくなり、歩くペースも遅くなってしまうためです。
健康な時は、歩く時に自然と肩や腰をひねって腕を振っていますが、体幹が硬くなるとこの『体をねじる動き』が少なくなってしまいます。
その結果、ロボットのように歩き方がぎこちなくなり、方向転換がしにくくなったり、すくみ足につながったりすることがあります。
スムーズに心地よく歩き続けるためには、体を柔らかくひねる動き高めていく必要がありますね。
体幹運動をすることの効果

体幹の運動を続けることで、パーキンソン病特有の症状に対してどのような良い変化が期待できるのでしょうか。
最新の研究結果をもとに、姿勢やバランス、転倒予防への具体的な効果をわかりやすく解説しますね。
立ち姿勢への効果
前屈みになったり横に傾いたりする姿勢を、まっすぐに近づけることが期待できます。
体幹を鍛える特別なトレーニングを4週間続けた結果、体が前に曲がってしまう角度が明らかに小さくなったという報告が存在します(引用文献:1)。
別の研究においても、姿勢に特化したリハビリを行うことで、前屈みだけでなく横への傾きも改善したと確認されました(引用文献:2)。
体の中心の筋肉がしっかり働くようになれば、体を支える力がつき、自然と背筋の伸びたきれいな立ち姿勢を保ちやすくなります。
バランスと自信への効果
動いている時のふらつきが減り、動くことへの不安を和らげられます。
体幹を安定させるトレーニングを8週間行った研究では、歩いたり向きを変えたりする時の動的なバランスが良くなったことが確認されました。
あわせて、転ばずに動けるという『バランスに対する自信』も大きく向上した点が報告されています(引用文献:3)。
体が安定してふらつきにくくなることで、恐怖心が薄れ、日常生活の中でより活動的に動けるようになります。
転び予防の効果
歩幅が広がり足先がしっかり上がるようになるため、つまずきによる転倒を防ぐことができます。
12週間にわたって体幹の筋力トレーニングとストレッチを行った研究では、歩幅が大きくなり、歩く時のつま先の高さが上がったと報告されました(引用文献:4)。
別の研究においても、体幹をねじる動きが良くなることで、歩く機能全体が高まることが示されています(引用文献:5)。
体幹の使いやすさを増す実際の運動

ご自宅で安全にできる、体幹を鍛えるための具体的な運動を3つご紹介しますね。
どれも特別な道具は不要で、今日からすぐに始められるものばかりです。
無理のない範囲で、生活に取り入れてみてください。
椅子に座って骨盤の動き

椅子に座って骨盤を前後に動かす運動は、背骨を柔らかく保つために欠かせない体操です。
骨盤の動きがスムーズになると、そこに繋がっている背中や腰のこわばりも自然とほぐれていきますよ。
まずは浅めに椅子へ腰掛け、両手を腰に当ててください。
息をゆっくり吐きながら背中を丸めておへそをのぞき込み、骨盤を後ろへ倒します。
次に息を吸いながら、胸を張って骨盤をまっすぐ立てましょう。
この前後の動きをリズミカルに10回ほど繰り返してみてくださいね。
骨盤の柔軟性を引き出し、しなやかな姿勢づくりを目指しましょう。
あおむけでの両足あげ

あおむけで両足を浮かせる運動は、お腹の奥深くにある筋肉をしっかりと鍛えられます。
体を支えるコルセットの役割を持つ『インナーマッスル』に直接刺激を届けられるからですね。
仰向けに寝転がり、まずは両膝を立てます。
そこから膝を90度に曲げたまま、すねが床と平行になる位置まで両足をゆっくり持ち上げてください。
横から見た時に足がテーブルのようになる姿勢を作り、呼吸を止めずに3〜5秒キープして下ろしましょう。
この時、腰が床から浮いて反らず、腰うらを床に張り付けるようにグイっと力を入れましょう。
お腹の芯を強くして、ふらつきにくい頑丈な土台を作ってくださいね。
横向きでのもも引き

横向きに寝て太ももを後ろへ引く運動は、お尻にある大きな筋肉(大殿筋)を強くするのに適しています。
お尻の筋肉がしっかり働くことで、立った時や歩く時に骨盤を後ろから力強く支えられるようになりますよ。
まずは横向きに寝て、両膝を軽く曲げた姿勢をとります。
そのまま上になっている方の足を、膝を曲げた状態のまま、かかとを後ろへ押し出すようにゆっくり引いてください。
お尻の筋肉がギュッと縮むのを感じたら、元の位置に戻しましょう。
左右それぞれ5〜10回を目安に行うのがおすすめ。
特にパーキンソン病の方は力の入れやすさに左右差が出る方も多いです。
特に苦手な側を多めにするのがいいですよ。
お尻の力を底上げして、安定した歩きへと繋げていきましょう。
パーキンソン病の方は体幹の運動を第一に取り組もう

体幹が歩行や姿勢、バランスにいかに大切か、そしてご自宅でできる具体的な運動方法についてお伝えしました。
まずは手足のトレーニングよりも、身体の土台となる『体幹』の柔軟性と筋力を高めることから始めてみてください。
お腹周りや背骨、お尻の筋肉を意識して動かすことで、歩きやすさや立ち姿勢に良い変化が生まれるはずですよ。
体幹の運動は、毎日少しずつ継続することが何よりも重要です。
体調に合わせて回数を調整し、息を止めずにリラックスして取り組んでくださいね。
無理なくご自身のペースで体幹を整え、ふらつきや転倒の不安がない安心した毎日を過ごしていきましょう。
この記事の執筆者
山口 祐弥(やまぐち ゆうや)

ASPATH(アスパス)代表 / 理学療法士
パーキンソン病を専門とする理学療法士(保健学修士 / LSVT-BIG®︎認定療法士 / 脳卒中療養指導士)。
総合病院や都内のパーキンソン病運動施設での14年以上の臨床経験を経て、現在は地元の鹿児島市でパーキンソン病と脳卒中専門トレーニングスタジオ「ASPATH」を運営しています。
保険外リハビリの現場に立ちながら、『適切な時期に適したトレーニングができる場所』を提供し、一人ひとりの目標から逆算した身体づくりと、生活に役立つ情報の発信に取り組んでいます。
結びと初回体験のご案内
私たちアスパスは、これからもパーキンソン病と共に生きる方の『人生の伴走者』として、やりたいことに挑戦できる身体づくりをサポートしていきます。
日々の臨床現場で得た専門的な知見や最新の運動療法を、一人ひとりの体調や症状の波に合わせたマンツーマンのトレーニングへ還元していくことを大切にしています。
「このまま症状が進行するのではないかと不安…」
「最近、足がすくみやすくなった気がする」
「姿勢が丸くなってきたからどうにかしたい…」
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ご自宅への訪問サポートや、ご夫婦での見学も大歓迎です。
初回体験申し込みフォームのURL
⬇︎⬇︎
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アスパス公式LINEのURL
⬇︎⬇︎
引用文献
- Gandolfi M, Tinazzi M, Magrinelli F, et al. Four-Week Trunk-Specific Exercise Program Decreases Forward Trunk Flexion in Parkinson’s Disease: A Single-Blinded, Randomized Controlled Trial. Parkinsonism Relat Disord. 2019 Jul;64:268-274. PMID: 31097299
- Capecci M, Serpicelli C, Fiorentini L, et al. Postural Rehabilitation and Kinesio Taping for Axial Postural Disorders in Parkinson’s Disease. Arch Phys Med Rehabil. 2014 Jun;95(6):1067-75. PMID: 24508531
- Cabrera-Martos I, Jiménez-Martín AT, López-López L, Rodríguez-Torres J, Ortiz-Rubio A, Valenza MC. Effects of a Core Stabilization Training Program on Balance Ability in Persons With Parkinson’s Disease: A Randomized Controlled Trial. Clin Rehabil. 2020 Jun;34(6):764-772. PMID: 32349543
- Youm C, Kim Y, Noh B, et al. Impact of Trunk Resistance and Stretching Exercise on Fall-Related Factors in Patients With Parkinson’s Disease: A Randomized Controlled Pilot Study. Sensors (Basel). 2020 Jul 23;20(15):4106. PMID: 32717956
- Stożek J, Rudzińska M, Pustułka-Piwnik U, Szczudlik A. The Effect of the Rehabilitation Program on Balance, Gait, Physical Performance and Trunk Rotation in Parkinson’s Disease. Aging Clin Exp Res. 2016 Dec;28(6):1169-1177. PMID: 26661467
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コメント(2件)
記事へのご感想をいただきました。ありがとうございます。
体幹に関する記事を読みました。
姿勢、バランス、歩き,その全てが私に当てはまります。そのために痛みがあったり、転びやすかったり、日常生活の中での不具合を感じています。
また私は腰周りが硬いなぁと感じることがあります.
この記事の中では体幹を柔らかくほぐし、そして強めていくための運動も紹介されているので、これらの運動をやってみたいと思います。
海外の研究で効果が出たのは8週間とか12週間とか書いてあるので長く続けないといけないですね。
頑張ってみます。
ありがとうございました!
体幹に関する記事をお読みいただき、ありがとうございます!
ご自身の姿勢や歩き、腰周りの硬さと照らし合わせながら深く読んでいただけて、とても嬉しいです。
海外の研究データ(8〜12週間)にも注目していただけた通り、体幹をしなやかに整えていくには焦らずマイペースに続けていくことが何より大切になります✨
まずは「ほぐして、強める」運動をご無理のない範囲で取り入れてみてくださいね。
スバルさんが安心して楽しく運動を続けられるよう、これからも応援・情報発信させていただきます!
引き続き、よろしくお願いいたします。