
「歩き出そうとしても足が床に張り付いたように動かない……転ばないか不安だけど、どう対策すればいいの?」
結論からお伝えします。
パーキンソン病の『すくみ足』対策のポイントは以下の通りです。
①動作を一つずつ区切って行う
②音や目印などの「合図」を利用する
③歩き出す前に重心をしっかり移動させる
④二重課題を避ける
本記事では、すくみ足が起こる原因から、今日から試せる具体的な対策、転倒を防ぐご家族向けの介助工夫までを分かりやすく解説します。
本記事を読めば、すくみ足への不安が和らぎ、安全に移動するためのコツがわかります。
ご本人やご家族の方でも、今日からすぐに対策に取り組めると思います◎
すくみ足にお悩みの方は、ぜひ参考にしてみてくださいね!
〜 ブログ運営者のプロフィール 〜
山口祐弥
【経歴】
1992年、鹿児島生まれ鹿児島育ち。
鹿児島の総合病院で8年間、神経疾患を中心とした理学療法に携わったのち、東京のパーキンソン病専門運動施設で4年間勤務。これまでに、多くのパーキンソン病・脳卒中の方のリハビリ・トレーニングを担当。
「適切な時期に、必要なサポートができない」という課題を解決するため、2026年始めに地元鹿児島へUターンし「ASPATH(アスパス)」を開業。
必要とする方に効果的な運動を届け、人生の伴走をしていくことが私の使命です。
【資格】
・理学療法士
・保健学修士
・LSVT-BIG®認定療法士(パーキンソン病特化)
・脳卒中療養指導士
【実績】
■論文執筆
・Effectiveness of Video-Based Intensive Core Training in Parkinson’s Disease(パーキンソン病における動画を用いた集中体幹トレーニングの有効性), Converging Clinical and Engineering Research on Neurorehabilitation V, 2024.
■国際学会発表
・Experiences and future perspectives with two patterns of intensive online exercise training in early-stage Parkinson’s disease(初期パーキンソン病患者における2種類の集中的オンライン運動トレーニングの経験と将来展望), The 6th World Parkinson Congress(世界パーキンソン病学会、スペイン・バルセロナ), 2023.
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パーキンソン病のすくみ足とは?

パーキンソン病の方に生じるすくみ足とは、『歩こうと思っているのに足が前へ出にくくなる状態』を指します。
これは単なる歩行困難ではなく、『動く準備はできているのに、歩行のスイッチが入らない』ために起こる症状です。
代表的なパターンとして、次のような場面で出やすい傾向があります。
①歩きはじめ:第一歩目が出ない
②方向転換:曲がろうとした時に足が止まる
③目的物の近く:ドアの前などで止まる
④狭い場所:通路が狭くなると進めなくなる
すくみ足に類似した状態として、完全に立ち止まってしまうだけでなく、歩幅が極端に狭くなる『すり足』や、『小刻み歩行』があります。
ご本人は歩いているつもりでも、実際にはなかなか前に進めていないケースも少なくありません。
すくみ足は、転倒の直接的な原因になりやすい点に注意が必要です。
転倒への恐怖心から動くことを避けるようになり、筋力が低下してさらに歩きにくくなるという悪循環に陥ることも多くなります。
すくみ足の保有率

パーキンソン病におけるすくみ足は、病気を長く患うにつれて現れやすくなる症状です。
2021年に報告された研究論文(Zhangら)によると、パーキンソン病の方全体の約50%以上にすくみ足が見られるとされています。
具体的な割合を見てみると、診断直後では約7%ですが、中期には約30%、進行期になると50〜80%にまで大きく増加していくとするデータがあります(引用文献:1)。
発症からの期間が長くなるほど症状を経験する方が増えるため、転倒によるケガを防ぐためにも、早い段階から歩き方の工夫や予防策を取り入れていくことが大切です。
すくみ足が起こる原因3つ

すくみ足は、単なる足の筋力不足で起こるわけではありません。
最新の研究から、脳の働きや姿勢のバランスなど複数の要素が絡んで生じると分かっています。
代表的な3つの原因を見ていきましょう。
ドパミン不足の影響
脳内の神経伝達物質であるドパミンの減少が大きく影響しています。
ドパミンは身体の動きをスムーズにする潤滑油のような役割を持っているのです。
この物質が不足すると、運動のスイッチが入りにくくなります。
そのため、薬の効果が切れる時間帯に、足が出なくなる症状が強く現れやすいです。
脳の指令がうまく足へ伝わらないことが、ひとつの要因といえます。
リズム生成が関係
自身で一定の歩行リズムを作り出す力が弱まることも原因の一つです。
歩く動作は本来、無意識にテンポを刻みながら行われるものです。
しかし病気の影響で、頭の中のメトロノームがうまく働かなくなるケースがあります。
足を出すタイミングが狂い、筋肉の動きが空回りしてしまう状態です。
リズムが掴めない結果として、第一歩が踏み出せなくなってしまいます。
姿勢バランスの影響
歩き出す直前の、無意識の姿勢づくりが遅れることも、すくみ足の要因といえます。
人は足を踏み出す前、支える足へ体重を移す『自動的な姿勢調整』を行っています。
この重心移動が不十分なまま進もうとすると、身体を支えきれません。
体重が乗り切っていない状態で足を動かそうとして、足踏み状態に陥るわけです。
足先だけでなく、身体の軸を移動させる準備の遅れが症状を引き起こす要因となっています。
すくみ足の対策4選

すくみ足を完全になくすことは難しい場合でも、症状が出た時に『抜け出す方法』を身につけておくことで転倒の不安を大きく減らせます。
今日から試せる4つの対策をご紹介しますね。
動作を分けて実施
一つひとつの動作を区切って行う方法です。
方向転換をする際に、急いで一気に回ろうとすると足がすくみやすくなります。
これを防ぐため、3〜5歩ほどに分割して小さく回りましょう。
椅子から立ち上がって歩き出す際にも、まずはしっかり立ち上がり、一息ついてから一歩目を出すとするとすくみ足が軽減することがあります。
また、ドアを通る前や横断歩道の前など、すくみやすい場所の手前で一度立ち止まる『通過の工夫』を作るのもおすすめです。
一度止まって呼吸を整え、改めて歩き出すことで足が運びやすくなるでしょう。
合図を参考にする
外部からの音や目印をきっかけにして歩く方法です。
自力でリズムを作りにくい場合は、メトロノームの音や手拍子に合わせる、あるいは「イチ、ニ」と頭の中で数えることで歩きやすくなります。
また、床のタイルの継ぎ目や、テープの線など「ここへ足を置く」という視覚的な目印を設定するのも有効です。
目印を一つに絞ることで、歩くためのスイッチが入りやすくなりますよ。
重心を十分に動かす
歩き出す前に、身体の重心をしっかり横や前後へ移動させる準備動作です。
すくみ足がある方は、体重の移動が不十分なまま足を上げようとして固まってしまうことが多いです。
そのため、第一歩を出す前に、足幅を少し広げて支える方の足へしっかりと体重を乗せましょう。
体重が片足にしっかり乗ることで、もう片方の足が自然と浮きやすくなり、最初の一歩がスムーズに踏み出せるようになりますよ。
二重課題を避ける
歩くことと別の作業を同時に行う『二重課題』を減らす方法です。
会話をしながら歩いたり、荷物を持ちながら歩いたりすると、脳の処理が追いつかずすくみ足が起こりやすくなります。
歩く時は『歩くこと』だけに集中するルールを作りましょう。
会話をする時は必ず立ち止まる、荷物はリュックにして両手を空ける、歩きスマホはしないなど、歩行への注意をそらさない工夫が大切です。
すくみ足による転倒を防止する方法

転倒を防ぐためには、目印や音を活用して歩行を誘導し、無理のない動作へ切り替える工夫が大切です。
たとえば、床にテープを貼って線をまたぐように歩いたり、「イチ、ニ」と声に出してリズムを取ったりすると、足がスムーズに出やすくなります。
方向転換や狭い場所ですくみやすい場合は、無理に向きを変えずに『横歩き』で進むのも転倒を避ける有効な手段ですね。
ご家族がサポートする際は、決して後ろから無理に引っ張らず、一緒に声を出してリズムを取るようにしてください。
焦らずにご自身に合った工夫を取り入れ、安全な移動を心がけましょう。
すくみ足を有する方への介助工夫

すくみ足の方をサポートする際は、決して無理に引っ張らず、目や耳からの合図で歩くきっかけを作ることが大切です。
慌てて体を引っぱるとバランスを崩し、転倒する危険性が高まるため注意が必要になります。
もし足が止まったら、まずは「一度止まりましょう」と声をかけて落ち着いてもらいます。
その後、隣で「イチ、ニ」と一定のテンポで声をかけたり、介助者の足を差し出して「ここを跨いでみてください」と目印を作ったりするのがおすすめです。
指示は「前を見ましょう」など、短く具体的に伝えると動きやすくなりますね。
ご本人のペースに寄り添い、焦らずリズムを作るサポートを心がけてください。
すくみ足を正しく対策しましょう

すくみ足による転倒を防ぎ、安全に移動するための具体的な対策をお伝えしました。
まずはご自宅の環境を見直し、床の目印やリズムを取る声かけなど、生活に取り入れやすい工夫から少しずつ試してみてください。
すくみ足の症状はお薬の効き目(オン・オフの時間帯)とも深く関係しています。
『いつ・どこで・どんな時に』足が止まりやすいかをノートに記録しておくのがおすすめ。
診察時に主治医へメモを共有することで、より的確なお薬の調整やリハビリの計画が立てやすくなりますよ。
決して焦らずにご自身のペースを守りながら、安全で快適な毎日をつくっていきましょうね。
この記事の執筆者
山口 祐弥(やまぐち ゆうや)

ASPATH(アスパス)代表 / 理学療法士
パーキンソン病を専門とする理学療法士(保健学修士 / LSVT-BIG®︎認定療法士 / 脳卒中療養指導士)。
総合病院や都内のパーキンソン病運動施設での14年以上の臨床経験を経て、現在は地元の鹿児島市でパーキンソン病と脳卒中専門トレーニングスタジオ「ASPATH」を運営しています。
保険外リハビリの現場に立ちながら、『適切な時期に適したトレーニングができる場所』を提供し、一人ひとりの目標から逆算した身体づくりと、生活に役立つ情報の発信に取り組んでいます。
結びと初回体験のご案内
私たちアスパスは、これからもパーキンソン病と共に生きる方の『人生の伴走者』として、やりたいことに挑戦できる身体づくりをサポートしていきます。
日々の臨床現場で得た専門的な知見や最新の運動療法を、一人ひとりの体調や症状の波に合わせたマンツーマンのトレーニングへ還元していくことを大切にしています。
「このまま症状が進行するのではないかと不安…」
「最近、足がすくみやすくなった気がする」
「姿勢が丸くなってきたからどうにかしたい…」
「足がつまずきやすくなってきた…」
など、お身体のことでお悩みの方やそのご家族様は、どうぞお気軽に初回体験へご相談ください。
ご自宅への訪問サポートや、ご夫婦での見学も大歓迎です。
初回体験申し込みフォームのURL
⬇︎⬇︎
https://forms.gle/sV6P2hbwowZS1quA7
アスパス公式LINEのURL
⬇︎⬇︎
引用文献
1)Zhang W-S, et al. : J Neurol., 2021.
まずは一度、お話を聞かせてください
初回体験は期間限定 半額4,400円。パーキンソン病専門の理学療法士が、
あなたの状態と目標を丁寧に伺います。
ご登録後、トークにメッセージをお送りください。
スタンプ一つでも構いません。
コメント(3件)
記事へのご感想をいただきました。ありがとうございます。
すくみ足に関するブログを読みました。
すごくわかりやすかったです!
私は最近宅配便が届いた時,インターフォンが鳴り、出なくちゃと焦り椅子から立ち上がったのに足が出ず、ますます焦り,結局小刻み歩行になり、挙げ句転んでしまうという経験をしました。
すくみ足で怖いのは転んでしまうということです。
でも対策もしっかり書かれていて、絶対に実行してみたいと思いました。
すくみ足は無くならないかもしれないけど、転倒を防ぐことができれば怖くないと思います。
スバルさん
コメントをいただき、誠にありがとうございます!
ブログをお読みいただき、「すごくわかりやすかった」と言っていただけて大変励みになります😊
宅配便が届いた時のお話、とてもリアルでハッとさせられました。その際、お怪我はありませんでしたでしょうか…?
「早く出なきゃ」という焦りを感じると、脳からの指令がスムーズに伝わりにくくなり、すくみ足や小刻み歩行が強まって転倒につながりやすくなってしまいますよね。
転倒への恐怖は、当事者の方にとって大きな不安だと思います。
だからこそ、「転倒を防ぐことができれば怖くない」というchikeiさんの捉え方は、本当に素晴らしく、前向きで大切な視点です✨
すくみ足をもちろん良くできるようにしながらも、まずは安全に対処して転倒を防ぐことも何より重要になります。
インターホンが鳴った際も、「まずは深呼吸して『ゆっくりで大丈夫』と自分に言い聞かせる」
「一歩目を出す前に、一度しっかりお尻を引いて立ち上がり、重心を左右どちらかに乗せてから踏み出す」といったワンクッションを挟むだけでも、足の出やすさが変わってきます。
私どもASPATH(アスパス)でも、こうした日常の「ヒヤリ」とする場面を減らすため、お一人おひとりの生活環境や症状に合わせた具体的な対処法や身体の使い方をお伝えしております。
ブログで紹介した対策も、ぜひ焦らずご自身のペースで試してみてくださいね!
これからも、毎日の生活が少しでも安心で快適になるような発信を続けてまいります。
また試してみての感想や、気になることがありましたら、いつでも気軽にコメントしてくださいね。心より応援しております!
スバルさん
いつもオンラインパーソナルトレーニングをご利用いただき、またとても嬉しいコメントを本当にありがとうございます!
最初は「画面越しで本当に大丈夫かな…?」と不安になられますよね。
そのお気持ち、とてもよく分かります。
私どもASPATH(アスパス)では、オンラインであっても画面越しの姿勢や関節のわずかな動き、体の使い方を細かく評価し、対面と変わらない確かな変化を感じていただくことに強いこだわりを持っています。
ですので、chikeiさんに「対面での指導と効果が全く変わらなかった」
「体のどの筋肉を使っているか的確に理解してくれている」と感じていただけたことは、専門スタッフとしてこれ以上ない喜びです!
遠方からでもこうしてご縁をいただき、しっかりと身体の変化を実感していただけていることに、私の方こそ心から感謝しております✨
これからもchikeiさんが安心して楽しく運動を続け、よりお身体が軽やかになるよう全力でサポートさせていただきますね。
引き続き、どうぞよろしくお願いいたします!